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沿岸で獲られるボラは、食用として昔から親しまれてきた魚です。 しかし、日本が高度経済成長を遂げた1960年代以降になると、いつしか「ボラの身は臭い」と言われるようになり、食卓から遠い存在になってしま....
沿岸で獲られるボラは、食用として昔から親しまれてきた魚です。 しかし、日本が高度経済成長を遂げた1960年代以降になると、いつしか「ボラの身は臭い」と言われるようになり、食卓から遠い存在になってしまいました。 では、なぜボラは嫌われる魚になったのでしょう。 それは、高度経済成長期に公害への対策が遅れ、沿岸の環境が汚染されたためです。 水質が良い場所に棲んでいるボラの身には独特の風味はありますが、嫌な臭みはありません。 しかし、ボラは水質の悪い沿岸でも生きることができ、また、エサと一緒に汚れた泥も吸い込んでしまいます。 そのため、ボラの身に嫌な臭いがついてしまうのです。 つまり人間がボラの棲む環境を汚してしまったことが原因なのですが、そのせいでボラが嫌われるのは気の毒な話です。 さて、ボラは本来美味しい魚として知られていました。 しっかりとした歯ごたえのある白身で、旬の時期に脂がのったものは「天然のマダイにもひけをとらない味」と言われるほどです。 その身には血中コレステロールの増加抑制や発ガン予防、老化防止などに効果があるDHAやEPAなどの高度不飽和脂肪酸が多く含まれています。 鮮度が良いものは洗いにして酢味噌をつけて食べますが、能登半島の穴水町ではボラが水の綺麗な穴水湾で育つため、そのまま刺身として食べることができます。 他に煮付けや酢の物、和え物、焼き物のほか、油との相性も良いためバター焼きやムニエル、パイ皮包み、フライ、唐揚げなど様々な料理法でその美味しさを愉しめます。 また「ボラのヘソ(そろばん玉)」と呼ばれる器官は、「アンコウの肝にボラのヘソ」と並び称されるほどの珍味とされ、塩焼きや醤油のつけ焼きなどで食べられます。 この「ボラのヘソ」は胃の出口にあって、胃から腸へ消化物を送るときに調節している器官です。 魚の内臓であるにもかかわらず、まるで鶏の砂肝のようなコリコリとした食感をしていますが、一匹るため、美しいオレンジ色をしているにもかかわらず「カラスミ(唐墨)」と呼ばれるようになったそうですが、このカラスミは東西交流の歴史の証人でもあります。 カラスミはエジプトやギリシャなどの古代地中海地方が起源とされ、やがて東西交流を経て中国に伝わりました。 現代でもイタリアで「ボッタルガ」、台湾で「烏魚子(オーヒージー)」と呼ばれ親しまれています。 日本には安土桃山時代の後期に中国から長崎へ伝えられ、かの豊臣秀吉もその味に舌鼓を打ったといわれています。 カラスミを味わいながら古の東西交流に思いを馳せるのも、乙なものかもしれません。 高級な珍味として有名なカラスミは、ボラの熟した卵巣を水洗いしてから塩漬けにし、さらに陰干しにしたものです。 ねっとりとしたチーズのような濃厚な味わいは、何とも言えない美味しさです。 江戸時代から「長崎のカラスミ」は「三河のコノワタ」「越前のウニ」に並ぶ天下の三珍味と称されてきました。 「長崎のカラスミ」が珍重されるのは、長崎県から南で獲られるボラのほうが卵巣が大きく、立派なカラスミを作ることができたためです。 古い中国(唐)の墨の形に似てい?ボラの栄養「臭い」ボラは 人間のせいカラスミ Winter 2012 Fのさかな12