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 ボラには、狭い範囲で回遊する習性があります。 春から秋にかけては内湾などで成長し、秋を過ぎると外海に出て産卵したり越冬するのです。 この産卵期を迎える秋から冬の時期が、ボラの旬とされています。 雌は....

 ボラには、狭い範囲で回遊する習性があります。 春から秋にかけては内湾などで成長し、秋を過ぎると外海に出て産卵したり越冬するのです。 この産卵期を迎える秋から冬の時期が、ボラの旬とされています。 雌は雄よりも成長が早く、生後2年を過ぎると成熟し始めます。 産卵は潮の流れのよい外海や外海に面した10mほどの海底で行われ、約220万粒ほどが産み落とされます。 卵は丸い形をしており、直径は0・8?1㎜くらい。 産み落とされた卵は、すぐにバラバラになって海中を漂い、3日ほどで孵化します。 ボラは成長につれて名前が変わって行く「出世魚」で、ブリやスズキと同じようにいくつもの名前を経て育っていきますが、岸近くでよく見られる馴染み深い魚だったせいでしょうか、日本各地に様々な「出世名」が残っています。 例えば、関東地方ではオボコ↓イナッコ↓スバシリ↓イナ↓ボラ↓トド。 東北地方ではヤチミコ↓コツブラ↓ツボオ↓ミョウオゲチ↓ボラ。 伊勢湾の辺りでは、ギンコ↓デコ↓イナ↓ニサイ↓ボラ↓ナンシ↓ミヨギチというように名前が変わっていきます。 オボコ・イナッコ・スバシリと呼ばれるのは仔魚の体長が3?6㎝になる頃で、河口や川を群れをなしてさかのぼる姿が見られるようになります。 ボラの特徴である脂瞼(しけん)は仔魚が3?4㎝になると現れ、5㎝前後に育つ頃には成魚と同じようになっています。  生後1年で20 ㎝ 前後、2年で30㎝ 前後になり、この頃になるとイナと呼ばれるようになります。 ボラと呼ばれるのは体長が30㎝を越えてからで、5年を過ぎると50㎝を超えるものもいます。 体長が50㎝ 以上になったものは、トドと呼ばれます。 このように名前が変わるボラは他の出世魚と同じく縁起の良い魚とされ、関東地方では生後百日の「お喰い初め」に使われたり、伊勢志摩地方では神事の際に奉納されています。 また、慣用句にもボラを由来とする言葉がいくつかあります。 「とどのつまり」という慣用句の「とど」は、実はアシカの仲間のトドではなく、ボラの一番最後の呼び名に由来します。 ボラがトドと呼ばれるようになるとこれ以上大きくはならないため、「行き着くところ」という意味で「とどのつまり」という言葉ができました。 今でも歌舞伎のト書き(台詞以外の描写説明)では、「結局」という意味で「とど」が多く用いられるそうです。 また、「いなせな?」という言葉もボラに由来しています。 江戸時代、日本橋の魚河岸に集まる若者達は、若いボラ(イナ)の背姿によく似た「鯔背銀杏(いなせいちょう)」と呼ばれるマゲを結っていました。 ここから勢いがあって少し斜に構えた様子のことを「いなせ」と言うようになったようです。 若者と言えば、「青二才」も若いボラ(ニサイ)が語源です。 未熟者を表わす「青」に、さらにニサイがくっつくことで、年が若い未熟者を強調する言葉になりました。  他に、世慣れしておらず幼い様子を表わす「おぼこい」という言葉も、小さいボラの呼び名オボコが由来とされています。対岸に能登島をのぞむ穴水町のボラ待ち櫓?ボラの成長ブリに負けない     出世魚 Winter 2012 Fのさかな10