Fのさかな21号 甘蝦(あまえび) 2011 秋 page 12/40
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概要:
能登半島のお魚の情報誌
ホッコクアカエビの石川県での旬は、9月から翌年の2月と長い期間にわたります。 そのため、獲られた時期よりも獲り方だったり、流通の仕方で美味しさが変わると言われています。 今では「甘エビ」として食卓でもすっかりお馴染みですが、実は全国に出回るようになったのは近年のことなのです。 「甘エビ」は、身が柔らかく鮮度が落ちやすいため、かつては石川県などの産地でしか食べられない「ご当地の味」でした。 しかし、流通や冷蔵・冷凍技術が発達し始めた1960年代後半になると、新潟産の「甘エビ」が東京のデパートなどの催事に登場するようになります。 この催事で「甘くて美味しいエビ」と評価されたことから、全国にその味が広まっていったのです。 さて、このエビが「甘エビ」と呼ばれるのは、もちろん食べたときに強い甘みを感じるためですが、生きている状態だとあまり甘くないことをご存知でしょうか? ホッコクアカエビは、死ぬと自分が持っている消化酵素の働きでその身を分解し、それによって身の中に旨味の素であるアミノ酸が増えるのです。 また、とろみの正体はその身に多く含まれている水溶性タンパク質ですが、これも消化酵素によって増えると言われています。 このとろみがあるおかげでアミノ酸の旨味が舌の上に長く残り、甘みを強めるのです。 つまり、お店に並べられて皆さんの目に触れる頃がちょうど「甘エビ」の食べごろになります。 「甘エビ」は、他の甲殻類と同じく高タンパク・低脂肪でヘルシーな食材です。 身には睡眠を調整するグリシンや脂肪を燃やしやすくするプロリン、肝機能の強化に役立つリジン、動脈硬化を防ぐアルギニンなど、旨味成分としてだけではなく健康に役立つアミノ酸をたっぷり含んでいます。 さらに殻にはキチンという食物繊維が含まれているため、「甘エビ」を揚げ物や干物にして丸ごと食べ?甘エビの栄養極上の甘みを 引き出すとろみることで、便通など腸内環境の改善が期待できます。 他にも疲労回復や視力の回復に効くタウリンや、強い抗酸化作用で活性酸素を押さえるビタミンEも多く含んでいるので、健康面でも注目に値する食材です。 「甘エビ」の新鮮な身には美しい透明感がありますが、これは身に8割以上ともいわれるほど多くの水分を含んでいるためで、煮たり焼いたりするとタンパク質が白く固まってとろみがなくなり、身はひどく小さくなります。 身の甘みやとろみを味わうには生で食べるのが一番ですが、唐揚げなどの揚げ物にしてもパリッとした殻の食感が楽しめるうえに、殻に含まれるカルシウムやキチンなどの成分も残らず摂取できます。 さらに「甘エビ」はエビせんべいや塩辛のほか、干物にしてあぶって食べたり、煮干しのようにダシをとったりすることもあります。 生で食べるときは、ぜひ頭の中にあるエビミソやお腹に抱えている青い卵も食べてみてください。 多少行儀は悪いですが「甘エビ」の頭をくわえてすすったときの口の中に広がる風味は格別です。 ただし、エビミソを吸うのに抵抗があったり、生臭いのが苦手な方は頭を味噌汁などに入れると美味しいダシを味わえます。 また、剥いた殻や頭は「甘エビ」の旨味をたっぷりと含んだソースの材料としても使えます。 15ページにその作り方を紹介し Autumn 2011 Fのさかな12