Fのさかな20号 虎魚(おこぜ) 2011年 夏 page 28/40
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概要:
能登半島のおさかな情報誌
ストレートスラッシュキルトとは、4?5枚の布を重ねて数ミリ間隔でバイアス方向にミシン縫いし、一番下の布を残してミシン線とミシン線の間をカットした後、洗って起毛させてベルベット状の風合いにする。重ねる布によって思いがけない配色を楽しむことができる。 ミシン線とミシン線の間隔を7ミリにしたものが定番らしいが、力強い声が印 象的でサバサバした西ふさえさん(63歳)は、3ミリ間隔の作品を手がける。石川ブランド優秀新製品にも認定されている。 「3ミリ幅の細かいスラッシュキルトを手がけるのは日本で私が初めてなのかしら。あちこち見てみたけどまだ出会ったことが無い。」という。 西さんがスラッシュキルトに出会ったのは17年前。友人が粗いスラッシュキルトのカバンを持っていたのを見てから本を読んで独学。 過去には某有名デザイナーの手編み製品を手がけたり、パッチワークを制作するなど手芸は得意分野である。 常々自分にしかできない仕事をしたいと思っていた時にスラッシュキルトに出会い、3ミリ幅の細かいものは独自に発展させたもの。落ち着くまでに7?8年かかったそうだ。 「3ミリ幅が柄の出方が一番綺麗だったから。」というが、ミシンの押えは使えないため、凄腕の見せどころだ。曲がらず3ミリ間隔をひたすら平行にミシンがけするのは集中力と根気が必要。カッティングも先細の特注鋏を使う。左右均等になるよう中心をカットすることも重要なポイント。気が抜けない作業だ。 ところが西さんはDVDを見ながらこれらの作業をするという。音声を聞きながら見どころだけ画面をみるというのだ。「一日平均5本かな」という。 しかし絣模様は手強い。どこを切っているのか分からなくなるそうだが、このスリルも楽しみの一つなのだ。カッティングが終わり、いよいよ水洗いの工程へ。 「洗濯機から取り出すときが一番ワクワクして楽しい瞬間。このワクワク感がたまりません。」 起毛したベルベット状の布地ができあがり、そこからバッグやポーチなど様々な形に仕上げる。ポーチだと布地作りから完成まで2日ほど。オーダー品でも3日以内に完成させる。 全て手作りですから一品物で同じものは存在しません。バッグの持ち手も自作にこだわっている。 工房ができて3年。プロとしてお金をいただくには一切の妥協はしない。失敗したら最初からやり直す。「戻らない、振り返らない、先に進む」が西さん流。平均睡眠時間4時間。楽しいし好きな事をしているから全く不満は無い。 製品の三分の一はオーダー品。寄せられる布地の多くは親から譲り受けた思い出の品だという。 憧れのダンプの運転手 西さんの工房は能登でも豪雪地帯の一角、奥能登のど真ん中にあり緑に包まれたのどかなところにある。 作家として独立する前は、10トンダンプの運転手洗濯機から取り出すときが一番ワクワクして楽しい瞬間。このワクワク感がたまりません。3ミリ幅の狭い隙間をカットしていく。なめらかな起毛にするには中心を切る事がポイント。スラッシュキルト専用のカッターは使えないため、刃先がカーブしている特注の鋏を使う。作業に欠かせない特注の小さな鋏パッチワークを施した大柄模様ファスナーは隠れるように取り付ける色柄の見せ方によって和モダンになる Summer 2011 Fのさかな28