Fのさかな20号 虎魚(おこぜ) 2011年 夏 page 12/40
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能登半島のおさかな情報誌
オニオコゼは「見た目は悪いが味が良い」魚の代表格です。 この点で肩を並べられるのは、おそらくアンコウくらいではないでしょうか。 秋から冬が旬と言われることもありますが、一般的にはオニオコゼが産卵期を迎える6月?8月が旬とされています。 俳句でもオニオコゼは夏の季語とされ、石川県に縁があり紫綬褒章等を授章した俳人の加藤楸邨は『鬼おこぜ石にあらずと動きけり』という句を詠んでいます。 身肉100gあたりにはタンパク質を19・6gも含みますが、脂質は0・2g、カロリーも85 と少なく、トラフグ並みにヘルシーな食材です。 能登半島には「妊婦や授乳期の母親にオニオコゼを食べさせると母乳の出が良くなる」という言い伝えがあり、昔から滋養豊富な食材とされていたようです。 オニオコゼは、そのゴツゴツとした醜い外見と裏腹に、白く美しい身肉を持っています。 この身肉には、しっかりとした歯ごたえと深い味わいがあり、栄養面のみならず味でもトラフグと並び称されるほどです。 オニオコゼは水揚げされてから時間がたつと味が落ちてしまうため、活魚として流通する事が多く、トラフグのように薄造りの刺身で食べられます。 かの北大路魯山人は、著作の中で『ひとたびふぐを前にしては、明石だいの刺身も、おこぜのちり(鍋)も変哲もないことになってしまい、食指が動かない。』と書いています。 ただ、文中で『おこぜのちり』としか書いていないところを見ると、ひょっとしたら魯山人翁はオニオコゼの刺身を食べたことがなかったのでしょうか? もしも食べていたら、もう少し違った評価をしていたのかもしれませんね。 また、ゼラチン質を多く含んでプルプルとした食感を持つ皮は湯引きにして食べられ、肝もアンキモのようなコクがあって大変美味しいものです。 他にも塩焼きや煮付け、唐揚げなどにしても美味しく食べられまkcal 頭が虎、体は魚で、毒針。何となくオニオコゼを思い起こす姿です。オニオコゼの胸びれも羽根のように広がっていますしね。 また、インド神話に登場し、水を操る「摩竭(マカラ)」という化物がモデルとされることもあります。 ただし摩竭は、ワニのような長い口にイルカの尾びれ、それに獣の四本足を持つ姿で描かれるため、あまりオニオコゼには似ていません。 いずれにせよ、水に縁がある化物を屋根に置くことで、火除けのお守りとするようになったようです。オコゼをひっくり返すと何になる? オコゼは、一般に「虎魚」と書かれます。 では、その上下を入れ替えた「魚虎」は何と読むでしょう? 答は「シャチホコ」です。 シャチホコは鬼瓦などと同じ飾瓦の一種で、大阪城などの天守閣に置かれているものが有名です。 現在では「鯱」と書かれますが、江戸時代の百科事典『和漢三才図会』には「魚虎」と書かれています。 実はシャチホコの「シャチ」は、クジラの仲間のシャチではありません。 一説には、中国の南の海に棲むと伝えられる化物「魚虎(ユィフー)」がそのモデルだとされています。 この化物は頭が虎、体は魚で、毒針と羽があり、陸に上がると虎になると言われています。?オニオコゼの栄養冬のフグ、 夏のオコゼ《写真提供/ペイレスイメージズ》 Summer 2011 Fのさかな12