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Fのさかな19号 鰰(はたはた) 2011年 春 page 24/40

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概要:
能登半島のおさかなの情報誌・フリーペーパー

山田 剛・やまだ つよし/1950年石川県津幡町生まれ。高校を卒業後、全国を旅したのち日本六古窯の一つ滋賀県信楽焼の里で陶芸の基礎を学ぶ。1983年能登島に移住。廃校になった小学校に住まい兼工房「案山子窯」を構える。1998年に現在の海沿いの地に移転。招き猫の看板が目印。【能登島焼・案山子窯/陶芸体験】 〒926-0216 石川県七尾市能登島曲町2乙-1 Tel&Fax.0767-84-1059 URL http://www.kakasigama.com/案山子窯の空気は柔らかい。  アンニュイな午後に訪ねたから?山田さんの人柄が醸し出ているから?ひょっとして店内に笑みをふりまく招き猫たちのせいではないだろうか。いろいろな表情で決めポーズをとる愛嬌のある招き猫たちは、似ているようで同じモノがなかった。作者は猫好き番猫もいた 「ダイレクトに表現できる招き猫はとっておきのモチーフだと思いませんか。」という猫好きな山田さんは、奥様と5匹の猫たちと暮らす。店番だって番犬ならぬ番猫のルリちゃんがいた。能登島曲町の海辺にたつ店舗兼アトリエは、青い海と青い空がよく似合う。漆喰を塗った白壁、レンガ敷きの床、ベランダの枕木配置など、設計から関われるところは何でも手掛けたそうだ。 能登島へ移住を決める前は、場所選びに1年近く足繁く通った。移住当初は少し離れた高台の廃校跡地に窯を構えていたが、もっと海が近いところ、風が穏やかなところにこだわり、13年前(1998年)に今の地に落ち着いたのだ。器と人とのコミュニケーションもあり 山田さんが陶芸の道に進んだのには意外な理由があった。子どもの頃は口数が少なく話下手だったそうだ。それでも人生にはコミュニケーションは欠かせないことに気づき、自分にふさわしいものは何かを考えたときに陶芸に出会ったそうだ。 「私は次男でしたからいずれ家を出る身。自由に好きな場所へ行けました。陶芸家を目指そうと全国を旅して、滋賀県にある信楽焼の里に決め、10年間陶芸の基礎を学びました。土や薪など自然の中にある材料で作ることや、酸化還元で多様な風合いを創り出す先人の知恵が詰まった陶芸に魅力を覚えました。形を創り、炎をみながら火入れを続ける。このプロセスが楽しく充実感を覚えます。自分で登り窯も作りました。」 山田さんは、「人と人の間に器がある。人と人の間にコミュニケーションがあるように、器と人とのコミュニケーションもありだと思う」という。 山田さんと器と使う人の間には音声のない会話が交わされる。一つひとつの器に思いを焼き込む。日常的に使われる器だから飽きがこない普段使いしやすい色や形、雰囲気を心がけて作陶に励んでいるそうだ。能登島の土を使った能登島焼きに挑戦したい 恒例になった能登島小学校4先生に陶芸を教えたり、誰でも気軽に体験できる陶芸教室も開催している。始終ニコニコ穏やかな山田さんは、案山子窯学校の校長先生。そんな印象を受ける。 店内には長くおつきあいできそうな茶碗やカップ、皿、酒器、花入れなどが所せましと並び、奥には一際目を引く大きな洗面器もあった。 山田さんの夢は「能登島に窯を設けたからには能登島焼きを創り出したい。困難は覚悟の上だが地元の土を使った焼物を完成させるのが夢です。」と語った山田さんの、土とコミュケーションを交わす焼物作りが今日も行われていそうだ。自然体でのんびり楽しみながら創る―山田 剛さん火