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Fのさかな19号 鰰(はたはた) 2011年 春 page 23/40

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概要:
能登半島のおさかなの情報誌・フリーペーパー

久島 豊・ひさじま ゆたか/1950年大阪出身。益子の窯元で10年間技術を修得。能登島大橋完成の年、能登島に移住。現在62歳。現在の住居は20年の歳月をかけた自作の家。北欧調の大きなログハウスは奥様とご一緒に築いてきた大作。【陶房 久平窯】 〒926-0212 石川県七尾市能登島佐波町高平175-1 Tel&Fax.0767-84-1297 URL http://kyuheygama.web.fc2.com/火久平窯は桜並木の坂道を登  った高台にある。工房兼住居は20年の歳月をかけた自作だという。「がむしゃらに目の前の事をこなしていたら気がついたら家ができていた。よくもまぁーこんなに大きくなったなー」と静かな口調。 大阪出身の久島さんは、栃木県の益子焼きの窯元で学んだ。その後、中能登町出身のご両親のご縁で能登島に移住。 「能登は都会のようにバスや電車の乗り継ぎ時間に振り回されることなく、車があればこちらのペースで生活できるから良いところ」だという。遊び心で追求した薄くて軽い器 久島さんが創る器の中に、フワッとした薄くて軽いものがある。薄く作るのは遊び心に似た挑戦があったそうだ。 「どの形やどこの部分に厚みをおくと落ち着くか、煙、釉薬、焼き方でどんな表情が生み出されるかなど細部にこだわって追求してみたのです。失敗は次へのステップ、挑戦だと思ってのめり込みました。」 静かな環境で作陶に集中することが多いため、人付き合いも苦手だったそうだ。それでもご近所の方々との交流によってだんだん気持ちが丸くなってきたとおっしゃる。困難を極めた作陶の日々 陳列棚のあちこちで洋風でしゃれた器に目が止まる。このあたりの焼物には見慣れない雰囲気が漂う。スリップウエアというらしい。「マニアックな世界だから好きでないと興味を持たれない」という。 ヨーロッパ辺りに伝わる古い技法で、生乾きの状態でスリップと呼ばれる化粧土を使い、模様を描く。軽くて薄い器には困難を極める作業だった。失敗の連続、日々格闘の歳月の末にようやく完成させた難度の高い焼物。時間がかかる上、成功率が低いことが悩みであったそうだ。おしゃれな展示物は貴重な作品である。土鍋専門に決めた 「スリップウエアを続けるには体力的に限界です。60歳を過ぎてからは土鍋専門に決めました。」 奥様は21日から月末まで東京の久平窯ギャラリーに出掛ける。この間久島さんは自炊生活を送ることに。そこで土鍋に対する思いが培われていったそうだ。「道具観が好きなんです。土鍋一つでできる料理。便利です。炊飯もそうですけど土鍋で料理すると遠赤外線効果でおいしいと思う。もっとこだわりたい」と。 基本はシンプル形。炊飯、シチュー、しゃぶしゃぶなど料理内容に応じた形状や色も豊富。薄く軽い器たちと違った、どっしりとした存在感を放つ。飾らない真髄を滲ませた土鍋たちだ。 「もちろん使うのはお客さんですから自由に使っていただいて結構なんです。使わない時はインテリア感覚で飾るのもいい。気に入ったものを大事に使う。そんな人に使ってもらえれば作家冥利に尽きます」 「本やテレビをみていて、この食卓だったらこんな食器が似合う、この料理は土鍋にピッタリだ」常に頭の中にはそれぞれのシーンに似合うそれぞれの器や鍋を思い描く。「自分だったらこんな食器。こんな鍋がいいな」と思う。 久島さんは36年間愛用するケリロクロを相棒に、陶芸にかける研究熱心な日々を静かに過ごしている。スリップウエアは体力勝負だ―久島 豊さん23 Fのさかな Spring 2011