Fのさかな19号 鰰(はたはた) 2011年 春 page 13/40
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概要:
能登半島のおさかなの情報誌・フリーペーパー
ハタハタの地方名 ハタハタには各地方でいろいろな呼び方があります。広く山陰地方ではカタハと呼ばれますが、島根県ではシラハタと呼ばれています。新潟県では、シマアジと言います。秋田県を含む東北地方ではカミナリウオとも呼びますが、これはもちろん冬に海が荒れて雷が鳴ると獲れるようになるためです。 ただ漢字で「雷魚」と書いてしまうと、湖や沼に棲むタイワンドジョウ科を指すライギョと区別しにくくなるため、お互いカタカナで表記した方がよさそうです。ひょっとしたら「?」という漢字が作られたのは、ハタハタとライギョ、それぞれを区別するためなのかもしれませんね。また、秋田県ではサタケウオとも呼ばれ、漢字では「佐竹魚」と書かれます。 昔、戦国武将の佐竹氏(先述)が常陸国(茨城県)から出羽国(秋田県)に領地を移された後、秋田県でハタハタがよく獲れるようになったことから、「これはきっと常陸国に棲んでいたハタハタが、佐竹の殿様の徳を慕って出羽国まで移って来たのに違いない」という伝説が生まれ、そこからサタケウオと呼ばれるようになったのだ、と言い伝えられています。魚醤「しょっつる」 日本三大魚醤として有名な秋田県の「しょっつる」。その名前の由来は、塩汁(=しおじる)が訛ったものと言われています。 「塩汁」という名前のとおり高い濃度の塩分を含みますが、これは仕込み中の腐敗を防ぐためです。「いしる」や「ナンプラー」など他の魚醤と同じように、醗酵による匂いは強烈ですが、料理に使うと甘さやコクが増します。 ハタハタが主な原料とされますが、秋田県沿岸部では昔からハタハタだけに限らずイワシやコウナゴなど、一度に大量に獲れる安い小魚を使って仕込んでいました。 「しょっつる」を仕込むには、まず桶に入れたハタハタなどの小魚に塩を加え、虫が入らないように蓋をします。桶の中を年に二、三度かき回すと、やがてハタハタなどの小魚はドロドロの液体になっていきます。 この液体を漉して加熱処理すると「しょっつる」が出来上がります。「しょっつる」は、小魚のタンパク質が、その身に含まれる自己消化酵素によって分解されて出来るアミノ酸、中でも旨味成分として知られるグルタミン酸やアラニンを多く含みます。それらのアミノ酸によって「しょっつる」の美味しさが生み出されているのです。 かつて味噌は「手前味噌」と言われるように、各家庭で作られる「お袋の味」でした。 同じように「しょっつる」も以前は各家庭で仕込まれ、魚と塩だけで作られたり、塩と魚に糀を加えたりと様々な方法で作られることで、それぞれの家庭の味となっていたようです。ハタハタの雑学久保田藩(秋田藩)初代藩主 佐竹義宣肖像画《天徳寺所蔵品(秋田県秋田市)》《写真提供/諸井醸造所 〒010-0511 男鹿市船川港船川字化世沢176 ?0185-24-3597》《商品写真/諸井醸造所 秋田しょっつるハタハタ100% 130g 1本735円》▲分解され溶けて液状になります▲新鮮なハタハタを天日塩に漬ける13 Fのさかな Spring 2011