Fのさかな19号 鰰(はたはた) 2011年 春 page 12/40
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能登半島のおさかなの情報誌・フリーペーパー
ハタハタの卵塊 ハタハタの卵は「ブリコ」と呼ばれるます。ハタハタの呼び名の由来が諸説あるように、卵が「ブリコ」と呼ばれるようになった由来も様々語られています。 一つ目は、戦国武将の佐竹義宣が関ヶ原の合戦の後、領地を常陸国(茨城県)から出羽国(秋田県)に移されたことに由来します。 佐竹氏が常陸国を治めていた時、正月にはブリを料理して祝うのが慣わしでした。しかし、出羽国ではブリが食べられないため、代わりにハタハタを使って正月を祝いました。 つまり、ハタハタをブリに見立てたことから、その卵を「ブリコ(鰤子)」と呼ぶようになった、という話です。しかし、実際には秋田県でもブリは水揚げされているので、この話にはいささか腑に落ちないところがあります。 もう一つは、ハタハタの卵を噛んだ時の食感が由来とされています。ハタハタの卵を塩などで漬けると、卵の外側が硬くなって弾力を増し、何ともたまらない歯ごたえになります。この卵を噛むと、口の中で「ブリッブリッ」というような鈍い音が聞こえるため、「ブリコ」と呼ぶようになったという話です。 日本語で食べ物に関連した名詞には、肉を湯の中で動かすことから名付けられた「しゃぶしゃぶ」、川に飛び込む音から名付けられた「すっぽん」など擬音を元にしたものが多々あるため、案外ありえない話ではないのかもしれません。 さて、このハタハタの卵は球形で直径が2?3㎜程度。表面はヌルヌルとした粘液で覆われています。産み落とされた卵は、その粘り気のためにお互いにくっつき、およそ1,000?2,000前後の卵が集まって、直径5㎝ほどのボールのようになります。このボール状になったものは「卵塊」と呼ばれ、ホンダワラなど浅瀬に生える海藻の枝分かれした部分にくっつきます。 卵塊はその塊ごとに淡紅色や淡緑色、淡褐色など種々の色彩に富みますが、近年の研究では親魚が食べているエサの種類で、卵の色が変わると推測されています。この卵塊は、中心まで詰まっておらず隙間があるため、中心部にも新鮮な海水が出入りできるようになっています。 卵は水温にもよりますが、だいたい50?70日前後で、卵塊の表面の卵から孵化していきます。孵化したての仔魚の大きさは12㎜ 程度。孵化後、約1ヶ月ほど浮遊生活を送ると、海底での生活に移ります。 この稚魚たちは、生後1年で6㎝前後、親魚として成熟する2年で12㎝ 前後、3年で16 ㎝ 前後、4年で20㎝前後に育ちます。そして成長ともに深場へと移動していき、やがて再び産卵のために浅瀬に戻ってくるのです。《写真提供/独立行政法人 水産総合研究センター》?ハタハタの卵 やみつきになる 歯ごたえハタハタの稚魚ふ化から10日目ハタハタの稚魚ふ化から55日目全長30㎜ハタハタの卵塊をほぐしたもの Spring 2011 Fのさかな12