Fのさかな18号 海鼠(なまこ) 2010 冬 page 22/40
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を造るのだそうです。この部屋の温度や湿度は部屋の外にある制御盤で厳密に管理されており、作業中は常に麹を育てるのに最適な温度に保たれています。また、壁には米麹そのものの温度を計る温度計が置いてあり、この....
を造るのだそうです。この部屋の温度や湿度は部屋の外にある制御盤で厳密に管理されており、作業中は常に麹を育てるのに最適な温度に保たれています。また、壁には米麹そのものの温度を計る温度計が置いてあり、この温度計で発酵の具合を見ながら米麹を育てるとのことでした。ここで二日半ほどかけて造られた米麹に水や酵母、乳酸菌と蒸し米を加えて酒母を造る工程が「?立て」です。この酒母を更に仕込みタンクで麹や蒸し米で合わせることで醪ができるのです。 糀室の向かいには、まるで学校の理科室のような器具がたくさん置かれた分析室がありました。この分析室では仕込んだ醪について酸味や糖度などの成分分析が行われているそうです。また、分析室を出てすぐの机の上には杜氏さんが仕込みの経過を書いた「経過簿」が置かれ、「能登誉」の名にふさわしいお酒を造る努力を垣間みることができました。 再び1階に戻って案内していただいたのは、軽自動車ほどもある大きな圧搾機です。まるでアコーディオンのように縦にずらっと並べられた鋼板の間に、袋に詰めた醪を挟んでぐっと圧力をかけて絞ることで、生酒と酒粕に分かれるのです。ここで搾られた生酒はまだ酵母が生きているため、保存していると味が変わってしまうので、仕込みが行われている限られた間しか味わう事ができないそうです。 この後、生酒は細かい滓をろ過してから火入れをして殺菌し、大きなタンクの中で低温で1年程貯蔵されます。これにより日本酒の味が保たれ、旨味やまろ味、深みが引き出されるのです。ごく個人的な感想を言うなら、確かに搾り立ての生酒は力強さに溢れ大変美味しくはありますが、熟成された日本酒の奥深さはその物珍しさを補って余りあると感じます。 ここで酒蔵見学のコースは終わりですが、雑談の中での「近年は日本酒の消費量が減っているので、造りの量も減っているんですよね」との言葉が印象に残りました。 日本人に昔から親しまれてきたにもかかわらず、年々その消費量が減っている日本酒。嗜好の変化であったり、イメージだったりその原因はいろいろあるのでしょう。ですが、長い歴史を持ち、日本の食文化を考える上で欠かせない我が国独自のお酒、日本酒。酒蔵見学をきっかけに、もっと日本酒のことを知っていただければと思います。 次に案内していただくため白木の階段を降り、スリッパから下足に履き替えます。今度は短い階段ではなく、踊り場がある階段を上った酒蔵の2階です。そこには4年前の能登半島地震の後で再建された「麹室」がありました。 真新しい板壁で覆われた麹室の中央には、大きな木製の台がどっかりと置かれています。この台の上に蒸した米を広げ、麹菌をふりかけて米麹こうじむろぼもとしゅ Winter 2010 Fのさかな22