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Fのさかな18号 海鼠(なまこ) 2010 冬 page 21/40

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 今回お邪魔した株式会社清水酒造店は、輪島で酒造りを始めてから140年(創業文久2年)という老舗です。主な銘柄は、〝能登を代表する誉れ高い酒となるように?と命名された「能登誉」。能登杜氏の伝統と高い技....

 今回お邪魔した株式会社清水酒造店は、輪島で酒造りを始めてから140年(創業文久2年)という老舗です。主な銘柄は、〝能登を代表する誉れ高い酒となるように?と命名された「能登誉」。能登杜氏の伝統と高い技術の上に、蔵元の創意が加えられた美味しいお酒は、昔から地元の皆さんに親しまれ、最近は他の地域でもその味が評価されるようになってきました。 毎年行われる金沢国税局の新酒鑑評会では、平成に入ってからでも11度も金賞を受賞し、全国新酒鑑評会では3度の金賞を受賞。平成8年の能登杜氏自醸酒品評会では最高賞の宮下名工賞を受賞するなど、常に品質にこだわりを持って酒造りに取り組んでいるとのことです。 出迎えて下さったのは、専務の清水亘さん。さっそく案内していただきました。 酒蔵の引き戸を開けると、すぐに冷たく引き締まった空気と、お酒の甘い匂いがふわっと私を包み込みます。お酒に弱い人ならこれだけで酔ってしまいそうですが、日本酒が大好きな私にとっては問題無し。この香りに包まれているだけで、何とも幸せな気持ちになります。明治初期に建てられた酒蔵は130年近く経っているそうで、毎年醸されるお酒の香りがそこかしこに染み付いているのでしょう。 桶を洗っている職人さんに軽く会釈しながら真っすぐ進むと、大きな機械が据えられています。この機械は酒の仕込みに使う米の蒸し機で、横にある大きな釜から出る蒸気を機械に送り、連続して米を蒸すとのことでした。 「では、こちらの仕込み場へどうぞ」専務さんの後をついていくと、白木で作られた短い階段の下にスリッパが用意されていました。高さ3mほどもある仕込みタンクの口と同じ高さに床板が貼られ、中二階のようになっているのです。スリッパに履き替えて階段を上ると、12基あるタンクが床に大きな口を開けていました。 この大きなタンクには約4400?程入るそうで、許可を頂いてタンクの中を覗くと、醪が発酵して盛んに炭酸ガスを吐き出し、プチプチと小さな音をたてています。別の仕込みタンクの醪は発酵をし始めたばかりで、まだあまり炭酸ガスが出ていないため、まるで甘酒のようにも見えます。もっと近くで見たくなりましたが、専務さんの「発酵している時の炭酸ガスは濃度が高いので、中に落ちると窒息しますよ」との言葉に、苦笑いしながら止めることにしました。もろみ21 Fのさかな Winter 2010