エフのさかな 16号 夏 -2010 summer- page 26/40
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概要:
年4回発行のフリーペーパー Fのさかな
[ ]美しく華やかな歌劇の世界。舞台袖から品良く歩み寄る人は、まっすぐな姿勢と切れ長の凛々しい目をしていた。雪月花歌劇団月組の男役をつとめる伊織はやとさん。役づくりに励む充実した日々がありました。 悔いが残らないようにやれ 福島県の北部に位置する桑折町(こおりまち)の寿司屋で4人姉妹の長女として生まれた伊織さん。柔道師範の父親のもと、ご自身も柔道少女だったそうです。そんな伊織さんを歌劇の道に引き寄せたのは高校三年の時、友人から渡された数十本のビデオテープからでした。「元々ボーイッシュな方だったから友達に歌劇の男役を何度も勧められたんです。毎日1本ずつ宝塚歌劇のビデオを見ました。そのうちだんだん男役の魅力にハマり、なりたいと思うようになりました」 当時、家業の寿司屋を継ぐため調理師免許を取得できる短大の家政学科に合格していました。しかし歌劇への道も捨て切れず、限られたチャンスに挑戦したいと思っていました。同級生が進路を決めていく中、自身の進路に迷い、親の同意、焦り、タイムリミット…。さまざまな心情が交差する中、背中を押したのは父親でした。「やるからには絶対悔いが残らないようにやれ」と、歌や踊りなど歌劇に必要な経験が無い伊織さんに、舞台に立つまでの厳しさを知る父親の力強い応援がありました。 〝やる?と決意してから、のんびりする時間は無くなった。放課後、歌劇専門の予備校へ通うため新幹線に乗って東京に向かう。福島から東京へ往復3時間の通学。帰りは終電。限られた期間に猛烈に練習し学ぶ日々が続きました。「絶対受かる。なってみせると思いつづけました。遊んだ記憶もないです。睡眠時間は3?4時間でした」 執念を燃やす日々が伺え、厳しいレッスンや帰宅の遅い娘の身を案じていたであろう親心も想像できます。 突然の転機 そんな努力が実り晴れて歌劇学校に入学が伊織はやと・いおり はやと加賀屋雪月花歌劇団月組男役。元OSK日本歌劇団団員。現在公演中の「La Passion 加賀屋の夏おどり~情熱のエンブレム~」(9月30日迄)に出演中。歌劇で観客を魅了する人伊織はやとさんい お り Summer 2010 Fのさかな26